Linux基本コマンド10選:初心者必須ガイド
Linuxコマンドラインの世界へようこそ!この記事では、すべてのLinuxユーザーが最初に覚えるべき10の基本コマンドを、実践的な例とともに解説します。これらのコマンドをマスターすれば、Linuxの基本操作は完璧です。
目次
1. pwd - 現在のディレクトリを表示
pwdは「Print Working Directory」の略で、現在いるディレクトリのパスを表示します。
基本的な使い方
$ pwd
/home/user
💡 ポイント:迷子になったときは、まずpwdで現在地を確認しましょう!
⚠️ 間違えやすいポイント
- 相対パスと絶対パスの違いを理解する(
/home/uservsuser) - シンボリックリンクの場合、実際の場所と表示が異なることがある
- Windowsとはパス区切り文字が異なる(\\ ではなく /)
実践練習
- ターミナルを開く
pwdと入力してEnterキーを押す- 表示されたパスが現在のディレクトリです
2. ls - ファイルとディレクトリの一覧表示
lsは「List」の略で、ディレクトリ内のファイルとサブディレクトリを一覧表示します。
基本的な使い方
$ ls
Documents Downloads Pictures Videos
便利なオプション
| オプション | 説明 | 例 |
|---|---|---|
-l |
詳細情報を表示(ロングフォーマット) | ls -l |
-a |
隠しファイルも表示 | ls -a |
-h |
ファイルサイズを人間が読みやすい形式で表示 | ls -lh |
-t |
更新時刻順にソート | ls -lt |
組み合わせ例
$ ls -la
total 32 drwxr-xr-x 5 user user 4096 Jan 11 10:00 . drwxr-xr-x 20 user user 4096 Jan 11 09:00 .. -rw-r--r-- 1 user user 220 Jan 11 08:00 .bashrc drwxr-xr-x 2 user user 4096 Jan 11 10:00 Documents
⚠️ 間違えやすいポイント
- 隠しファイル(.で始まるファイル)は
-aオプションなしでは表示されない - スペースを含むファイル名は引用符で囲むか、エスケープが必要
ls -lの権限表記(rwxrwxrwx)の読み方を覚える- ディレクトリは最初の文字が「d」で始まる
3. cd - ディレクトリを移動
cdは「Change Directory」の略で、作業ディレクトリを変更します。
基本的な使い方
$ cd Documents
# Documentsディレクトリに移動
特殊なディレクトリ指定
cd ~
ホームディレクトリに移動
cd ..
親ディレクトリ(一つ上)に移動
cd -
直前のディレクトリに戻る
cd /
ルートディレクトリに移動
実践例:ディレクトリナビゲーション
$ pwd /home/user $ cd Documents $ pwd /home/user/Documents $ cd .. $ pwd /home/user
⚠️ 間違えやすいポイント
- スペースを含むディレクトリ名は引用符が必要(例:
cd "My Documents") cdのみの実行でホームディレクトリに移動する- 相対パス(Documents)と絶対パス(/home/user/Documents)の使い分け
- 存在しないディレクトリを指定すると「No such file or directory」エラー
4. mkdir - ディレクトリを作成
mkdirは「Make Directory」の略で、新しいディレクトリを作成します。
基本的な使い方
$ mkdir my_project
# my_projectディレクトリが作成される
便利なオプション
親ディレクトリも同時に作成(-p)
$ mkdir -p projects/web/frontend
# projects、web、frontendディレクトリが階層的に作成される
複数のディレクトリを一度に作成
$ mkdir dir1 dir2 dir3
# dir1、dir2、dir3が同時に作成される
⚠️ 間違えやすいポイント
- 同名のディレクトリが既に存在する場合は「File exists」エラー
- 親ディレクトリが存在しない場合は
-pオプションが必要 - 権限がない場所では「Permission denied」エラーが発生
- 不正な文字(/など)を含む名前は使用できない
5. touch - 空のファイルを作成
touchコマンドは、新しい空のファイルを作成したり、既存ファイルのタイムスタンプを更新します。
基本的な使い方
$ touch newfile.txt
# newfile.txtが作成される
複数ファイルの同時作成
$ touch file1.txt file2.txt file3.txt
# 3つのファイルが同時に作成される
💡 ヒント:touchは既存ファイルの内容を変更しません。タイムスタンプのみ更新されます。
⚠️ 間違えやすいポイント
- 既存ファイルに実行すると内容は保持されるが、更新時刻が変わる
- ディレクトリ名と同じ名前のファイルは作成できない
- 拡張子の有無を意識する(.txt、.logなど目的に応じて付ける)
- 権限のない場所では「Permission denied」エラー
6. echo - テキストを出力
echoコマンドは、テキストを画面に出力したり、ファイルに書き込んだりします。
基本的な使い方
$ echo "Hello, Linux!"
Hello, Linux!
ファイルへの出力
新規作成・上書き(>)
$ echo "First line" > file.txt
追記(>>)
$ echo "Second line" >> file.txt
変数の表示
$ echo $HOME
/home/user
⚠️ 間違えやすいポイント
- 引用符の使い分け:シングル(')とダブル(")で変数展開の動作が異なる
- リダイレクト(>)は上書き、(>>)は追記を意識する
- 特殊文字($、*、?など)は意図しない動作をする場合がある
- 改行を含むテキストは引用符で囲む必要がある
7. cat - ファイルの内容を表示
catは「Concatenate」の略で、ファイルの内容を表示したり、複数のファイルを連結したりします。
基本的な使い方
$ cat file.txt
This is the content of file.txt Line 2 Line 3
便利な使い方
行番号付きで表示(-n)
$ cat -n file.txt
1 This is the content of file.txt
2 Line 2
3 Line 3
複数ファイルの連結
$ cat file1.txt file2.txt > combined.txt
⚠️ 間違えやすいポイント
- 存在しないファイルを指定すると「No such file or directory」エラー
- 巨大ファイルの表示は画面がスクロールしすぎて見づらい(lessコマンドを推奨)
- バイナリファイルを表示すると文字化けや端末の表示が崩れる
- 複数ファイル連結時は順序に注意が必要
8. cp - ファイルやディレクトリをコピー
cpは「Copy」の略で、ファイルやディレクトリをコピーします。
基本的な使い方
$ cp original.txt copy.txt # ファイルコピー $ cp -r folder/ backup_folder/ # ディレクトリコピー
⚠️ cpコマンドは実務で重要なコマンドです。
安全な使い方や高度なテクニックについては、「ファイル操作ガイド(基礎編)」で詳しく解説しています。
9. mv - ファイルの移動・リネーム
mvは「Move」の略で、ファイルやディレクトリを移動したり、名前を変更したりします。
基本的な使い方
$ mv oldname.txt newname.txt # リネーム $ mv file.txt Documents/ # 移動
⚠️ mvコマンドはファイルを移動させる重要なコマンドです。
安全な使い方や事故防止テクニックについては、「ファイル操作ガイド(基礎編)」で詳しく解説しています。
10. rm - ファイルやディレクトリを削除
rmは「Remove」の略で、ファイルやディレクトリを削除します。
基本的な使い方
$ rm unwanted.txt # ファイル削除 $ rm -i important.txt # 確認付き削除
🚨 重要:rmコマンドは一度削除すると復元不可能です!
⚠️ rmコマンドは非常に危険なコマンドです。
rm -rf の恐怖や安全対策については、「ファイル操作ガイド(基礎編)」で詳しく解説しています。
実務で使用する前に必ず確認してください。
実践演習:段階的に学ぶ実践課題
🟢 初級編:基本操作に慣れる
課題1:自己紹介フォルダの作成
目標:自分専用のフォルダ構造を作成し、簡単なプロフィールファイルを作成する
手順
- 現在のディレクトリを確認する
- 「my_profile」という名前のディレクトリを作成する
- 作成したディレクトリに移動する
- 「profile.txt」という空のファイルを作成する
- 自分の名前をファイルに書き込む
- ファイルの内容を確認する
解答例を見る
$ pwd /home/user $ mkdir my_profile $ cd my_profile $ touch profile.txt $ echo "名前:田中太郎" > profile.txt $ cat profile.txt 名前:田中太郎
🟡 中級編:実用的なシナリオ
課題2:Webサイトプロジェクトの構築
目標:実際のWeb開発で使用される典型的なディレクトリ構造を作成する
手順
- 「website-project」ディレクトリを作成し移動
- src/css、src/js、src/imagesディレクトリを一度に作成
- index.htmlとREADME.mdをルートに作成
- HTMLファイルに基本的な内容を書き込む
- ファイル構造を確認する
解答例を見る
$ mkdir website-project && cd website-project
$ mkdir -p src/{css,js,images}
$ touch index.html README.md
$ echo "<!DOCTYPE html><html><body><h1>Hello World</h1></body></html>" > index.html
$ ls -la
$ ls -la src/
💡 演習のポイント
- 失敗を恐れない:間違えても
rm -rfで削除してやり直せます - Tab補完を活用:ファイル名やディレクトリ名の入力時にTabキーを押す
- 履歴を活用:↑キーで過去のコマンドを呼び出せます
- 確認を習慣化:操作後は
lsやpwdで状況を確認
よくあるトラブルと解決方法
🚨 「Permission denied」エラー
症状
原因と解決法
- 原因:書き込み権限がない場所にファイル・ディレクトリを作成しようとしている
- 解決法1:権限のある場所(ホームディレクトリなど)に作成する
- 解決法2:
sudoコマンドを使用する(注意して使用) - 確認方法:
ls -laで現在の権限を確認
🚨 「No such file or directory」エラー
症状
原因と解決法
- 原因:指定したファイルやディレクトリが存在しない
- 解決法1:
lsコマンドで現在の場所の内容を確認 - 解決法2:
pwdで現在地を確認してパスを修正 - 解決法3:Tab補完を使用して正確な名前を入力
🚨 「File exists」エラー
症状
原因と解決法
- 原因:同名のファイルやディレクトリが既に存在している
- 解決法1:別の名前を使用する
- 解決法2:既存のものを削除してから作成する
- 確認方法:
ls -laで既存のファイル・ディレクトリを確認
💡 スペースを含むファイル名の扱い
問題
「My Document」のようにスペースを含むファイル名の操作でエラーが発生
解決法
# ❌ 間違った方法 $ cd My Document cd: My: No such file or directory # ✅ 正しい方法1:引用符を使用 $ cd "My Document" # ✅ 正しい方法2:エスケープを使用 $ cd My\ Document
💡 大文字小文字の区別
注意点
Linuxでは大文字と小文字を厳密に区別します
# これらは全て異なるファイルとして扱われる $ touch file.txt $ touch File.txt $ touch FILE.txt $ ls FILE.txt File.txt file.txt
効率化テクニック:コマンドライン作業をスピードアップ
⌨️ キーボードショートカット
Tab補完
使い方:ファイル名やディレクトリ名を途中まで入力してTabキー
$ cd Doc[Tab] $ cd Documents/
コマンド履歴
使い方:↑↓キーで過去のコマンドを呼び出し
$ history # 履歴一覧を表示 $ !! # 直前のコマンドを再実行 $ !ls # 最後の"ls"コマンドを再実行
カーソル移動
使い方:長いコマンドラインでの効率的な移動
Ctrl + A:行の先頭に移動Ctrl + E:行の末尾に移動Ctrl + U:カーソル位置から行頭まで削除Ctrl + K:カーソル位置から行末まで削除
🔗 コマンド連結テクニック
コマンドチェーン(&&)
前のコマンドが成功した場合のみ次を実行
$ mkdir project && cd project && touch README.md
セミコロン連結(;)
成功失敗に関わらず順次実行
$ pwd; ls -la; date
バックグラウンド実行(&)
コマンドをバックグラウンドで実行
$ long-running-command &
⭐ ワイルドカード活用
アスタリスク(*)
任意の文字列にマッチ
$ ls *.txt # .txtで終わるファイル $ cp project_* backup/ # project_で始まるファイル
クエスチョン(?)
任意の1文字にマッチ
$ ls file?.txt # file1.txt, fileA.txt など
ブラケット([])
指定した文字のいずれかにマッチ
$ ls file[123].txt # file1.txt, file2.txt, file3.txt $ ls file[a-z].txt # filea.txt から filez.txt まで
🎯 実践的な時短技
1. プロジェクト一括セットアップ
$ mkdir -p myapp/{src,docs,tests} && cd myapp && touch README.md && echo "# My App" > README.md
2. ファイル一括リネーム
$ for file in *.txt; do mv "$file" "${file%.txt}.bak"; done
3. ディレクトリサイズ確認
$ du -sh * # 各フォルダのサイズを表示 $ df -h # ディスク使用量を確認
💡 上達のコツ
- 毎日使う:少しずつでも毎日コマンドラインを触る
- エイリアスを作る:よく使うコマンドの短縮形を登録
- マニュアルを読む:
man コマンド名で詳細を確認 - 実践で覚える:実際のプロジェクトで使ってみる
まとめ
これらの10個の基本コマンドは、Linuxを使う上での基礎中の基礎です。
- ナビゲーション:
pwd,ls,cd - 作成:
mkdir,touch,echo - 表示:
cat - 操作:
cp,mv,rm
これらをマスターすれば、より高度なコマンドの学習もスムーズに進みます!
当サイトは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである「Amazonアソシエイト・プログラム」の参加者です。商品価格に影響はありません。
📚 基本コマンド学習におすすめの書籍
基本コマンドを効率的にマスターするために、実際に役立つ書籍を厳選してご紹介します。辞書的に使える本から実践的な入門書まで、レベルに合わせて選べます。
📚 新しいLinuxの教科書
対象レベル: 初級〜中級
基本コマンドを体系的に学べる定番書。pwd、ls、cd、mkdir、rm等の基本コマンドから、パイプやリダイレクトまで丁寧に解説。コマンドの「使い方」だけでなく「なぜそのコマンドが必要なのか」という本質的な理解を深められます。
📚 Linuxコマンドブック ビギナーズ 第6版
対象レベル: 初級(辞書として活用)
基本コマンドを辞書的に引ける実用書。pwd、ls、cd、mkdir、touch、echo、cat、cp、mv、rm等、この記事で紹介した10コマンドを含む豊富なコマンドを網羅。使いたいコマンドをすぐに調べられるので、デスクに常備する一冊として最適です。
📚 入門者のLinux - 素朴な疑問を解消しながら学ぶ
対象レベル: 初級(実践入門)
初学者の「素朴な疑問」に答えながら基本コマンドを実践的に学べる入門書。この記事と同じように、pwd、ls、cd等の基本コマンドから始めて、徐々にステップアップできる構成。「なぜこのコマンドを使うのか」という疑問を解消しながら学習を進められます。
📚 ゼロからはじめるLinuxサーバー構築・運用ガイド 第2版
対象レベル: 中級〜上級
基本コマンドを実務で活用できる実践書。基本コマンドの使い方をマスターした後、それらを実際のサーバー構築・運用でどう使うのかを体系的に学べます。コマンドの「実務での使い方」を知りたい方に強く推奨します。
🎉 実践で基本コマンドをマスターしよう
書籍で知識を習得したら、Penguin Gym Linuxの実践課題で手を動かして学習を定着させましょう。pwd、ls、cd等の基本コマンドを実際に使うことで、確実にスキルアップできます。